知って役立つ! 移転の際に必要となる本店移転登記の手順
本社の事務所が手狭になったなどの理由で本社を移転する際に、必要となる手続きの一つとして本店移転の登記があります。
株式会社など法人の本店を移転したときには、同じ市区町村内の移転であったとしても、一定期間内に管轄の法務局へ本店移転の登記の申請を行い、審査を受けなければなりません。
今回は、株式会社の本店移転について、その登記の手順や登記時の必要書類について説明します。
移転先によって異なる登録免許税
会社を設立したときに登記をすると、会社登記簿が法務局により作成され、商号、本店、資本金、役員名などが登記事項として記録されます。
本店所在地を移転する場合には、登記に記されている本店に変更が生じるため、法務局で登記変更手続きを行わなければなりません。
これを本店移転登記といいます。
本店移転登記をする際には登録免許税が必要で、登録免許税の金額は移転先によって異なります。
本店の移転先が現在の法務局の管轄内であれば、現在の法務局で手続きが完結するため、登録免許税は3万円です。
しかし、本店の移転先の法務局の管轄が、現在と異なる場合は、新旧双方の法務局で手続きが必要となるため、登録免許税は合計6万円となります。
本店移転登記を申請するにあたっては、その前提となる社内手続きなどの事前準備が大切です。
本店移転登記の際に必要な手続きと書類を確認していきましょう。
事前準備が大切! 必要な社内手続きと書類
まず、定款で本店の所在地をどのように定めているかを確認します。
これは、定款で定めている本店所在地が最小行政区画(市区町村、東京23区、政令指定都市の場合は市)か所在場所(住所)かによって、移転に伴う定款変更の決議方法が異なるからです。
定款に本店の最小行政区画を定めていて、現在の法務局が管轄する行政区画内に移転するときは、定款を変更する必要がない場合もあります。
このときには、取締役会などで移転場所や移転日などを決議します。
しかし、現在とは異なる法務局が管轄する行政区画へ移転するときや、定款に本店の所在場所を定めている場合には、定款の変更が必要です。
このときには、株式会社であれば『株主総会』を開催し、本店移転に伴う定款変更を決議します。
登記申請時には、このときの『株主総会議事録』と『株主リスト』が必要になります。
現在の法務局が管轄する行政区画に本店を移転する場合や、株主総会で移転場所と移転日を決議していない場合などは、株式会社であれば『取締役会』を開催し、本社の移転場所・移転日を決議します。
取締役会設置会社は取締役会で、取締役会を設置していない会社は取締役の過半数で決議しなければなりません。
登記申請時には、このときの『取締役会議事録』または『取締役の過半数の一致を証する書面』が必要になります。
本店移転の登記申請に必要な書類と申請方法
株主総会・取締役会などの承認を得て本店を移転したら、登記申請のための必要書類を準備します。
株主総会議事録、株主リスト、取締役会議事録または取締役の過半数の一致を証する書面のほかに、『本店移転登記申請書』を用意します。
本店移転登記申請書は、現在の法務局の管轄内で本店移転するのであれば1枚、別の法務局の管轄住所へ本店移転するのであれば2枚作成する必要があります。
申請書に記載する本店の移転日については、取締役会などで決議し実際に移転した日を移転日とし、所在地については、定款で最小行政区画を定めている場合であっても所在場所(住所)を記載します。
本店移転登記は、原則、本店を移転した日から2週間以内に本店所在地を管轄する法務局へ申請します。
万が一2週間を過ぎてしまった場合、登記懈怠として代表者個人に過料を科せられる場合があるので注意が必要です。
ただし、申請の仕方はさほどむずかしくありません。
管轄内の移転の場合は、現在の所在地を管轄する法務局に申請書と株主総会議事録などの添付書類を提出します。
管轄外への移転の場合は、登記申請書を2通まとめて旧所在地の法務局に提出します。
1通を新所在地の法務局に送付してもらえるため、それぞれの法務局に出向く必要はありません。
登記の申請方法としては、法務局の窓口申請やオンライン申請など自社で手続きを行うこともできます。
しかし、確実にかつスピーディに手続きを行いたいのであれば、司法書士に申請代行を依頼するのが得策といえます。
本店移転を検討している場合は、以上のような手順をあらかじめ理解しておくとよいでしょう。
※本記事の記載内容は、2023年4月現在の法令・情報等に基づいています。
https://mi-g.jp/mig/office?office=W6Gb3xGRtpU%3Dより
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