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登記所から通知される『登記識別情報』を紛失してしまったら?

不動産の登記を行うと、新しく名義人となった人に、登記所から『登記識別情報』が通知されます。
この登記識別情報は本人確認の手段の一つで、登記官が名義人から提出された登記識別情報によって、申請者が名義人本人であるかを確認します。
登記識別情報は、売買や贈与などで土地や建物の名義を変更したり、自宅を担保に融資を受けたりする際に、登記名義人本人が当該登記を申請していることを確認する資料となります。
しかし、使用頻度の高いものではないため、登記識別情報を失くしてしまうケースもあるようです。
今回は、登記識別情報を紛失してしまった場合の対処法などについて説明します。

所有権の移転登記などに必要な登記識別情報

売買や贈与などによって、土地や建物の名義変更をする際には、登記識別情報を登記所に提出しなければなりません
このような所有権の移転登記のほかに、不動産に抵当権を設定登記する場合や、住宅ローンを完済した後に抵当権抹消登記をする場合に、登記識別情報を登記所に提出する必要があります。

登記識別情報は、登記手続きが完了すると『登記識別情報通知』として、申請した名義人ごとに発行されます。
この登記識別情報通知は、不動産と名義人ごとに発行されます。
たとえば、1つの不動産を2人で共有している場合には、それぞれの名義人に登記識別情報通知が各1通の計2通、2つの不動産を2人で共有している場合には各2通の計4通、登記識別情報通知が交付されることになります。

登記識別情報通知には、不動産番号や受付年月日、登記の目的、登記名義人の氏名と住所、そして登記識別情報(英数字混じりの12桁)が記載されています
登記所に行って手続きした場合や郵送で手続きをした場合は、登記識別情報の部分は目隠しシールや折り込み方式などによって隠されており、他人に盗み見られないようになっています。また、オンライン申請の場合は、暗号化された登記識別情報をダウンロードする方法と、紙の登記識別情報を受領する方法があります。
実務では、紙の登記識別情報を受領する方法を取ることがほとんどです。

このように登記識別情報は、とても厳重に秘匿されています。
これは、第三者の不正利用を防ぐためです。

原則として、登記識別情報は第三者に知らせてはいけません
銀行のキャッシュカードの暗証番号や、パソコンやスマートフォンのパスワードなどの情報と同様、他人に知られてはいけないものです。
悪用される恐れがありますので、厳重に管理しなければなりません。

不正登記防止申出と登記識別情報失効制度

登記識別情報は、登記申請した名義人だけが把握していればいい情報なので、失くしたり盗まれたりしないように、登記識別情報通知が交付されたら、金庫などへ厳重に保管しておきましょう。
登記識別情報は登記手続きにしか使用しないため、失くしてしまう人も少なくありません。
登記識別情報は、紛失しても再通知してもらえないため注意しましょう。

もし、失くした場合には、登記識別情報ではなく、本人限定受取郵便(個人)や書留(法人)などの事前通知による代替方法によって本人確認を行い、登記手続きを進めることができます
ただし、代替方法は手間や時間がかかることもあります。

不動産の登記には、登記識別情報だけでなく、実印と印鑑証明書が必要になるため、実印や印鑑証明書の管理をきちんと行っていれば、登記識別情報を失くしたとしても、見知らぬ第三者に所有権の移転の登記や抵当権の設定の登記を勝手にされることもありません。

他人の登記識別情報を使って登記を行うのは容易なことではなく、万が一勝手に登記されたとしても、その登記は犯罪行為に該当し、無効とされます。
ちなみに、登記識別情報の不正取得は、不動産登記法第161条によって、2年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。

しかし、登記識別情報が第三者に不正使用される可能性が全くないとはいい切れません。
もし、登記識別情報が他人に盗まれ、さらに悪用される危険性がある場合には、『不正登記防止申出制度』を利用することができます。

この制度は、名義人が登記所に制度の利用を申し出ることにより、その申し出から3カ月以内に該当の登記についての申請があった場合、速やかに登記所から申し出をした名義人にその旨が通知されるというものです。
また、正当な登記であることが疑わしい場合は、その申請者に対する本人確認調査も行われます。

また、『登記識別情報失効制度』もあります。
これは登記識別情報を紛失してしまった場合や、他人に盗み見られた可能性がある場合などには、この制度を利用して登記識別情報を失効させることができるという制度です。

不正登記防止申出制度の手続きは、名義人本人が登記所に出向く必要があります。
やむを得ない事情がある場合には、司法書士などの代理人による手続きも認められています。
制度の利用を考えているのであれば、まず登記所や専門家に相談してみましょう。

※本記事の記載内容は、2023年1月現在の法令・情報等に基づいています。

https://mi-g.jp/mig/office?office=W6Gb3xGRtpU%3Dより

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