人材戦略に活かせるストックオプションの具体的なメリットは?
ストックオプションとは、『新株予約権』のことで、取締役や従業員等に、あらかじめ定めた金額で、会社が一定数の株式を交付できるというものです。
もし、予約権を持っている新株が値上がりすれば、最初に定められた出資額を出して、価値の高い株式を手にすることができます。
ストックオプションを受けられるのは、取締役や従業員に限られているわけではありませんが、今回は、取締役や従業員に対するストックオプションの発行手続きや、そのメリット・デメリットについて説明します。
ストックオプションの発行手続き
ベンチャーやスタートアップ企業が、欲しい人材を自社に招きたいとき、ストックオプションを付与する代わりに、以前の会社より低い収入条件で、入社してもらうケースが多々あります。
取締役に対してストックオプションを付与する場合には、ストックオプションは役員報酬の一部となるので、株主総会において、取締役の報酬決議が必要となります。
その後、取締役会でストックオプションの募集事項について決議をし、株主総会でストックオプションの発行についての決議をします。
さらに新株予約権の発行に関する株主総会決議を経て、ストックオプションの申込・割当、または総数引受契約(募集株式をすべて特定の引受人に割当する契約)の締結をします。
つまり、誰にストックオプションを渡すかということを具体的に決めることとなります。
上記の各手続きが完了したら、割当スケジュールに従ってストックオプションを発行し、新株予約権原簿に必要事項を記載することとなります。
最後に、新株予約権の発行は、株式会社の登記事項とされているので、ストックオプションの発行から2週間以内に登記手続きをします。
なお、従業員に対してストックオプションを付与する場合には、上記の株主総会決議は不要です。
ストックオプションのメリット・デメリット
ストックオプションは、株式の価格が、あらかじめ定められた購入額を超えなければ意味がありません。
たとえば、あらかじめ定められた額の金銭が100万円、ストックオプションを行使する際の株式の価格が110万円の場合、ストックオプションを付与された側は、10万円の利益を得ることができます。
このことから考えれば、ストックオプションには、取締役や従業員が、会社の株価(業績)を上げようとして、仕事のモチベーションが高くなるメリットがあります。
また、会社に現金がない場合に、ストックオプションを付与すると条件付けすることで、より能力の高い人材を獲得できる可能性が広がります。
一方、会社の株価が下がってしまった場合には、取締役や従業員にとっては、ストックオプションを持っていても得になりません。
会社の株価が下がっている傾向にある場合(経済状況が悪化している場合など)には、ストックオプションの付与は、取締役や従業員のモチベーションを下げるということにもなるのです。
さらに、一時的に会社の業績が上がり、ストックオプションを行使して大金を得た者が、そのまま退職してしまう(人材の流出)というリスクも考えられます。
ちなみに、上記のとおりストックオプションの発行には、株式を金銭に換えられるという条件が必要です。
したがって、ストックオプションを発行できる会社は、すでに公開会社となっている会社か、今後、上場を予定している会社のどちらかとなります。
ストックオプション制度を取り入れる際には、関係者に不公平感が出ないよう、注意する必要があります。
各方面に目配りしながら、メリット・デメリットをよく検討して進めるとよいでしょう。
※本記事の記載内容は、2021年10月現在の法令・情報等に基づいています。
https://mi-g.jp/mig/office?office=W6Gb3xGRtpU%3Dより
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